生成りの紙面に濃緑の縦帯と金の細線をあしらったカバー画像。上に「大石浩之のお寺ノート」、中央に大きな見出しで「墓じまいをやめた理由は費用|解体費が高い22.2%」、下段に「ATAWI TEMPLE|磐田市の寺院データベース」と日付「2026.08.26」が並ぶ。
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。

結論

墓じまいの見積もりが思ったより高くて、いったん止めています。やめる人も多いのでしょうか

珍しくありません。鎌倉新書の第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年3月17日公表・有効回答733件)では、やめた理由の最多が「解体費用が高すぎた」で22.2%でした。ただし実際にかかった費用は約48%が70万円以下です。総額のまま見ず、工事費・寺へのお納め・納骨先・行政手数料の4つに割ると、どこが高いか比べられます。費用も墓地規則も寺ごとに違うため、最後は菩提寺にご確認ください。

墓じまいをやめた理由の最多は「解体費用が高すぎた」で22.2%だった

鎌倉新書は2026年3月17日に「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」を公表した。改葬・墓じまいをやめた理由の最多は「解体費用が高すぎた」で22.2%である。調査期間は2026年1月16日から1月23日、有効回答は733件だった。次いで「先祖にうしろめたい気持ちになった」が11.1%、「家族・親戚から理解を得られなかった」が7.8%と続く。

先に断っておく。この733件は全国の回答者であって、磐田市の数字ではない。墓の扱いは宗派・寺院・地域でまるで違う。同じ市内でも、寺院墓地と市営霊園では手続きも費用の項目も別物になる。ここから先の割合は「よそでも同じことで止まっている」という確認に使うもので、お手元の見積もりを説明するものではない。

同じ調査には、費用面の壁が少しずつ下がっているという数字もある。「解体費用が高すぎた」を挙げた割合は、前回の第3回調査では26.3%だった。今回は22.2%で、4.1ポイント下がっている。一方、改葬・墓じまいの実施経験者は45.2%で、前回の39.9%から増えた。

ただし、私が確かめきれていないことがある。この「やめた理由」の設問に何人が答えたのか、公表されている資料の中に人数の記載を見つけられなかった。回答733件の内訳として「過去に検討」が90件と示されているので、その90件が母数であれば22.2%は20件前後になる。20件前後の20%と、733件の20%では、読み取れる重さが違う。だから私は、この22.2%を「5人に1人が費用で断念している」と言い換えることはしない。

同じ調査で、48%は70万円以下で終わっている

費用が壁になるという話には、もう半分の数字がある。同じ第4回調査で、実際に墓じまいにかかった費用は「31万円~70万円」が31.3%で最多だった。前回の24.2%から増えている。「30万円以下」の16.8%と合わせると約48%で、およそ2人に1人は70万円以下で終わっている。反対の端では「151万円以上」が14.0%だった。

この数字も、そのままでは自分の家の話にならない。全国の実施済みの人の自己申告であり、遺骨の体数も、墓の大きさも、寺院墓地か公営墓地かも揃っていない。私は不動産の仕事で、金額を見たらまず1軒あたり・1年あたりに割り戻す癖がついている。ここでも同じことをしてみる。

磐田市の市営霊園の使用料には幅がある。池田・富里・加茂西霊園の2号区(1.5平方メートル)は170,000円。駒場霊園の普通区画(3平方メートル)は300,000円である。管理料はいずれも年2,090円。仮に見積もりが70万円だったとすると、駒場霊園の普通区画を新しく取る使用料の2.3倍にあたる。そして年2,090円の管理料でいえば、335年分になる。

この比較で言いたいのは「70万円は高い」でも「安い」でもない。墓じまいの見積もりは、墓を1つ新しく建てるのと同じ桁の買い物だということである。1回の相談で即決できる金額ではない。持ち帰って中身を見る時間を取るほうが、結果として安く済む。墓じまいという言葉が指す手順の全体像は墓じまいの基礎資料にまとめてある。

見積もりの何が高いのか。墓じまいの費用は4つに分かれる

墓じまいの見積もりは、性質の違う4種類の支払いが1枚の紙に並ぶ。分けて見ないと、どこが高いのかを人に説明できない。私は相談を受けたとき、最初にこの4つへ割り直してもらっている。

  • 1つめ、墓石の解体・撤去の工事費。石材店に払う工事代金である。墓地の広さ、石の量、重機が入るかどうか、区画までの道幅で変わる。寺院墓地や霊園によっては指定石材店が決まっている場合がある。
  • 2つめ、墓地管理者への手続きと、寺へのお納め。寺院墓地なら、埋蔵の事実を証明する書面に記名押印をもらう手続きがある。閉眼供養などの依頼に伴うお納めの額は寺ごとに違い、私は相場を書かない。書いた瞬間に、その額が交渉の材料になってしまうからである。
  • 3つめ、新しい納骨先の費用。永代供養、樹木葬、納骨堂、別の墓のいずれを選ぶかで桁が変わる。磐田市の合葬墓(駒場霊園内)は使用料が遺骨1体につき150,000円で、管理料はかからない。遺骨が3体なら450,000円と、その場で計算できる。
  • 4つめ、行政の手続き費用。磐田市の改葬許可申請の手数料は1件につき300円である。申請書の書き方と添付書類は改葬許可申請の出し方|磐田市は1件300円・環境課の窓口に書き出した。

4つに割ると、比べられるものと比べられないものが分かれる。工事費は他の石材店にも見積もりを出してもらえる。新しい納骨先も並べて比べられる。行政の手数料は公開されていて動かない。比べられないのは2つめだけである。

言い切っておく。高すぎると感じた見積もりは、金額そのものではなく、比べる相手が1つもない状態で総額だけを見たことから来ている場合がある。総額70万円は判断できないが、「工事費が45万円で、他社は32万円」なら判断できる。保留にした人が次にやることは、決断ではなく分解である。

磐田の市営霊園には、返すと使用料の半分が戻る仕組みがある

磐田市の市営霊園には、墓地を返還したときに使用料の50%が還付される仕組みがある。磐田市の「市営墓地」のページに、その定めが書かれている。墓所の移転(改葬)や使用見込みがないなどの事由で墓地を返還した場合、使用許可時に納めた使用料の50%を還付する。しかも使用期間には関係しない。ページの更新日は2026年8月4日である。

金額に直してみる。2号区の170,000円なら85,000円、駒場霊園の普通区画の300,000円なら150,000円が戻る計算になる。これは私にとって意外な数字だった。私自身、墓じまいを出ていく一方の話として説明してきた。使用期間に関係なく半分という条件は、20年使っていても30年使っていても変わらない。

その上で、一事業者として1つだけ注文したい。同じ「市営墓地」のページには改葬許可申請の案内も載っているが、そちらの欄に還付のことは書かれていない。墓じまいの費用を調べている方が最初に開くのは改葬の欄である。制度を変える話ではなく、案内の置き場所の話として、改葬の欄にも還付にふれる一文がほしい。

ここで必ず線を引いておく。これは磐田市の市営霊園の話であって、寺院墓地には当てはまらない。寺の墓地の返還時にどう扱われるかは、その寺の墓地規則による。還付の定めがある寺もあれば、無い寺もある。まず自分の墓がどちらなのかを確かめてから、この話を持ち出してほしい。市営霊園と寺の墓地の違いは寺の墓地と市営霊園の違い|静岡は墓地の62%が個人経営に整理した。

保留している間の負担も数えておく。磐田市の市営霊園の管理料は年2,090円である。1日あたり6円弱にあたる。使用許可日が10月1日から3月31日の場合は初年度が1,045円という注記もある。寺院墓地の護持会費や管理費は寺ごとに違うため、金額は書けない。ただ、公営墓地に限って言えば、決めるのを1年先送りする費用は年2,090円である。この金額のために慌てて決める必要はない。

保留は失敗ではない。今日できる確認は3つ

墓じまいをいったん止めている状態を、私は失敗だと思っていない。むしろ、見積もりを見て手が止まったという時点で、その方はすでに金額を自分の家計に照らしている。ここから必要なのは決断ではなく、次に見積もりを取るときに比べられる材料を揃えておくことである。今日、結論を出す必要はない。決めるための材料が1つ増えた状態を、今日の成果とすればいい。

先ほどの調査で、私がいちばん引っかかった数字がある。「先祖にうしろめたい気持ちになった」の11.1%が、「家族・親戚から理解を得られなかった」の7.8%を上回っていた。止めているのは、反対する親戚ではなく自分の気持ちのほうだった。これは費用の話とは別の壁で、見積もりを安くしても消えない。だから私は、うしろめたさで止まっている方に「安くする方法があります」とは言わないようにしている。

今日のうちにできる確認は3つある。

  1. 墓に遺骨が何体入っているかを数える。合葬墓のように1体いくらで決まる受け入れ先では、体数がそのまま金額になる。磐田市の合葬墓なら1体150,000円なので、2体か3体かで300,000円の差が出る。分からなければ「分からない」と書き出し、菩提寺や霊園に聞く材料にする。
  2. 自分の墓が寺院墓地か公営墓地かを、墓地使用許可証で確かめる。還付の有無も、手続きの相手も、ここで分かれる。許可証が見つからない、名義が故人のままという場合は、先に名義の確認から始めることになる。
  3. 手元の見積もりを、上の4つに割り直す。工事費、寺へのお納め、新しい納骨先、行政手数料。1枚の総額を4行に分けるだけで、次に何を聞けばいいかが決まる。菩提寺への切り出し方は墓じまいの相談、秋彼岸まで1か月で菩提寺に聞く3つにまとめた。

墓じまいが増えている流れそのものは、令和6年度の改葬17万6105件という国の統計にも表れている。数字の読み方は墓じまいが増えている|改葬17万件を磐田の実感で読むに書いた。家の売却や相続と一緒に情報を1枚へ集めるなら、実家カルテの墓の欄も同時に埋めておくと二度手間にならない。

撤去の費用と同じ石を、地震で建て直す側から見た数字もある。2008年の岩手・宮城内陸地震で東北の墓地90か所を数えた調査では、震央から約10キロの墓地で転倒率が52%に達していた。倒れてから動かすのか、決めてから動かすのかで、かかる手間が変わる。詳しくは墓石の地震対策|転倒率52%と磐田の想定震度7に書いた。

費用の最終的な答えは、全国調査にも、この記事にもない。撤去の見積もりは石材店へ、相続や登記の個別判断は司法書士へお願いしたい。そして墓地規則と閉眼供養の作法は寺ごとに違う。最後は菩提寺に確認していただきたい。

FAQ

よくある確認

墓じまいを途中でやめる人は、どのくらいいますか。

鎌倉新書の第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年3月17日公表・有効回答733件)では、やめた理由の最多が「解体費用が高すぎた」で22.2%でした。次いで「先祖にうしろめたい気持ちになった」11.1%、「家族・親戚から理解を得られなかった」7.8%です。ただしこの設問の回答者数は公表資料で確認できませんでした。

見積もりが高いかどうかは、どう確かめればよいですか。

総額のままでは比べられません。墓石の解体・撤去の工事費、墓地管理者への手続きと寺へのお納め、新しい納骨先の費用、行政の手数料の4つに割り直してください。工事費と納骨先は他と比べられます。磐田市の改葬許可申請は1件300円で公開されています。寺へのお納めは寺ごとに違うため、菩提寺に直接ご確認ください。

墓じまいを保留にしている間、費用はかかりますか。

墓地の管理料は使い続ける限りかかります。磐田市の市営霊園は年2,090円で、1日あたり6円弱にあたります。寺院墓地の護持会費や管理費は寺ごとに違うため、金額は菩提寺にご確認ください。なお磐田市の市営霊園は、墓地を返還すると使用期間に関係なく使用料の50%が還付されます。

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Sources

出典・確認先

  1. 参考 鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」

    2026年3月17日公表。調査期間2026年1月16日~1月23日、有効回答733件。改葬・墓じまい実施経験者45.2%(前回39.9%)。2026年8月確認

  2. 参考 いいお墓「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」調査結果

    やめた理由は「解体費用が高すぎた」22.2%(前回26.3%)、「先祖にうしろめたい気持ちになった」11.1%、「家族・親戚から理解を得られなかった」7.8%。費用は30万円以下16.8%、31万円~70万円31.3%(前回24.2%)、151万円以上14.0%、約48%が70万円以下。2026年8月確認

  3. 参考 磐田市公式ウェブサイト「市営墓地」

    使用料170,000円(池田・富里・加茂西霊園2号区1.5平方メートル)~300,000円(駒場霊園普通区画3平方メートル)、管理料年2,090円(使用許可日が10月1日~3月31日の初年度は1,045円)、返還時は使用期間に関係なく使用料の50%を還付、改葬許可申請の手数料1件300円、窓口は環境水道部環境課生活環境グループ(磐田市国府台3-1・西庁舎1階、電話0538-37-2702)。ページ更新日2026年8月4日。2026年8月確認

  4. 参考 磐田市公式ウェブサイト「磐田市合葬墓」

    駒場霊園内。使用料は遺骨1体につき150,000円、管理料なし、収蔵数3,000体。2026年8月確認

制度・金額・期限は変わります。相続、税、登記にかかわる個別の判断は、税理士・司法書士などの専門家と菩提寺にご確認ください。 本記事は一般的な情報であり、特定の寺院・家・土地についての判断ではありません。

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この記事を書いた人

大石浩之(磐田市/不動産業)

富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士

磐田市で実家じまい・相続・空き家の相談を受けています。菩提寺や墓の話は、家をどうするかの相談と必ず同じ場に出てきます。 その現場で見たこと・聞いたことを、判断できるところとできないところを分けて書いています。

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