結論
墓じまいって、本当に増えているんですか
増えています。厚生労働省の衛生行政報告例によると、令和6年度の改葬は全国で17万6105件、静岡県で6526件。令和4年度の15万1076件から3年続けて最多を更新しました。ただし改葬は「他の墓や納骨堂へ移す」手続きの名前で、墓を閉じた家の数そのものではありません。
令和6年度の改葬は17万6105件。3年続けて過去最多を更新した
厚生労働省の衛生行政報告例によると、令和6年度(2024年度)の全国の改葬件数は17万6105件だった。2025年10月21日に公表された数字である。令和4年度が15万1076件、令和5年度が16万6886件。この3年度は、いずれもそれまでの最多を上回っている。
10年前と並べると、増え方の角度が見える。平成26年度(2014年度)の改葬は8万3574件だった。10年で2.1倍である。途中で一度足踏みもしている。令和元年度の12万4346件から、令和2年度は11万7772件へ減り、令和3年度も11万8975件で横ばいだった。そこから令和4年度に3万2101件も跳ね上がり、以後は毎年更新が続いている。
| 年度 | 全国の改葬件数 | 静岡県 |
|---|---|---|
| 平成26年度(2014年度) | 83,574件 | 3,468件 |
| 令和2年度(2020年度) | 117,772件 | 4,104件 |
| 令和4年度(2022年度) | 151,076件 | 5,731件 |
| 令和5年度(2023年度) | 166,886件 | 5,966件 |
| 令和6年度(2024年度) | 176,105件 | 6,526件 |
静岡県は令和6年度で6526件。平成26年度の3468件から1.88倍になっている。全国の伸びよりはゆるやかだが、方向は同じである。
先に断っておく。墓の扱いは宗派・寺院・地域でまるで違う。ここに出す数字は国全体と県全体の合計であって、あなたの家の墓や菩提寺の事情を説明するものではない。それに、改葬と墓じまいは同じ言葉ではない。墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第2条第3項は、改葬を「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義している。移し替えの手続きの名前であって、墓を閉じた家の数ではない。
火葬10件に改葬1件。磐田市の規模に割り戻すと年270件前後になる
17万6105件という数字は、そのままでは自分の家の話にならない。同じ統計表に載っている火葬件数と並べると、大きさが掴める。令和6年度の火葬は全国で167万4520件だった。改葬はその10.5%にあたる。火葬10件に対して、別の墓から遺骨が1件動いている勘定になる。
磐田市の規模に落としてみる。ざっくりの概算であることを先に書いておく。磐田市の統計によると、令和6年度の1年間で市内の死亡は2059人だった。静岡県全体の火葬件数は5万464件なので、磐田市はおよそ4.1%にあたる。静岡県の改葬6526件に同じ比率をかけると、約270件になる。1か月あたり22件前後である。市役所の開庁日でならせば、1日に1件強。
私は、17万件という数字を記事にそのまま置くのが好きではない。桁が大きすぎて、読んだ人が「世の中はそうなんだ」で読み終えてしまうからだ。不動産の仕事では、金額でも件数でも、1軒あたり・1年あたり・1世帯あたりに割り戻す癖がついている。そうしないと持ち主の負担に翻訳できない。磐田市の規模で年270件、月に20件超。これは「よその話」の量ではない。同じ町内か、親戚の誰かが今年動かしている、という量である。
墓じまいという言葉が何を指すのか、手順としての全体像は墓じまいの基礎資料にまとめてある。お墓まわりの記事はお墓の記事一覧から辿れる。
意外なのは中身である。無縁墓の整理は改葬全体の1.7%しかない
衛生行政報告例の同じ表には、改葬の内訳として「無縁墳墓等の改葬」という欄がある。令和6年度は全国で3006件だった。改葬17万6105件に対して1.7%である。静岡県はさらに少なく、6526件のうち8件。県内の改葬の0.1%にとどまる。
この内訳は、私の予想と違っていた。墓じまいが増えていると聞くと、跡継ぎが絶えて管理者が整理した墓の話がまず浮かぶ。実際の数字は逆である。98%以上は、名前も連絡先も分かっている家族が、自分で申請書を書いて窓口へ出した分だった。
言い切っておく。墓じまいが増えているのは、墓が嫌われたからではない。実家を手放す段取りの順番の中に、墓が入ってきたからである。家を売る、荷物を片づける、仏壇をどうするか決める。その並びの延長線上に墓がある。だから相談は、墓の話としてではなく、家の話の途中で出てくる。
その上で、私が確かめきれていないことも書いておく。改葬の法律上の定義は「他の墳墓又は納骨堂に移すこと」である。墓を撤去した後、遺骨を散骨や手元供養にしたとする。他の墳墓にも納骨堂にも入れていない。この場合が定義に当てはまるのかどうか。市町村の運用で分かれるという話は聞くが、私は磐田市の取り扱いを窓口で確認できていない。統計に載らない墓じまいが一定数ある可能性は残る。だから私は、17万6105件を「墓じまい17万件」と言い換えることはしない。
磐田市の合葬墓は1体15万円。良い点が3つと、注文が1つある
磐田市は駒場霊園(磐田市駒場4916番地10)の中に合葬墓を持っている。遺骨を骨つぼから骨袋に移し、全ての遺骨を永代にわたって合同で収蔵する形式である。使用料は遺骨1体につき15万円で、管理料はかからない。収蔵数は3000体。承継や管理は不要で、宗教・宗派は問われない。
良い点は3つある。1つめは、費用が1体単位で公開されていることである。移す遺骨が3体なら45万円と、家族がその場で計算できる。相場を聞いて回らずに済む。2つめは、申請者の資格に「(改葬含む)」と書かれていることである。既にある墓から移してくる人を受け入れる、と最初から明記されている。3つめは、申請の流れが窓口説明から収蔵までの段階に分けて公開されていることである。使用料の納付書を受け取って指定金融機関で支払い、入金確認後に使用許可証が郵送され、納骨日を予約して収蔵受付棟へ行く。どこで何をするかが、行く前に読める。
その上で、一事業者として注文したい点が1つある。「一度収蔵されたご遺骨は、いかなる理由があっても返還ができません」という一文が、ページの冒頭近くに置かれている。ここは合葬墓の性質そのものであり、いちばん取り返しがつかない。ところが費用と手順は下のほうにある。私の経験では、費用を知りたくて開いた人は、上から順には読まない。金額の欄に飛ぶ。だから返還不可の一文は、申請の流れの最後にもう一度置いてほしい。制度を変える話ではなく、置き場所の話である。
もう1つ、家の相談を受ける側として目に留まった記載がある。申請時の持ち物の注記に「申請者より上位の相続人がいる場合、同意書が必要になります」とある。実家を売るときに相続人全員の実印を集める作業と、性質が同じである。墓のほうだけ先に進めようとしても、結局は同じ人たちに声をかけることになる。
数字を家の段取りに戻す。今日できる確認は3つ
改葬の許可を出すのは、移す先の市町村ではない。墓地、埋葬等に関する法律第5条第2項は、改葬に係る許可は「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長」が行うと定めている。磐田市にある墓から東京の納骨堂へ移す場合でも、許可を出すのは磐田市である。窓口は環境水道部環境課の生活環境グループ(磐田市国府台3-1・西庁舎1階、電話0538-37-2702)になる。ここを取り違えると、遠方の家族が動く日程が丸ごとずれる。申請書に何を書き、何を添えるかは改葬許可申請の出し方|磐田市は1件300円・環境課の窓口に、手数料1件300円と添付書類まで書き出した。
今日のうちにできる確認は3つある。
- 墓に遺骨が何体入っているかを数える。合葬墓のように1体いくらで料金が決まる受け入れ先では、体数がそのまま金額になる。分からなければ「分からない」と書き出して、菩提寺や霊園に聞く材料にする。
- 墓地使用許可証(永代使用許可証)の名義を見る。名義が故人のままだと、改葬の書類で墓地管理者の証明をもらう段階で止まる。詳しくは墓の名義変更をしないとどうなる|2026年の登記義務化と同じ壁に書いた。
- 自分より上位の相続人がいるかどうかを数える。兄姉、親の兄弟。同意書が要る場面は、墓でも家でも同じ顔ぶれになる。
菩提寺への切り出し方に迷っているなら、聞く順番を先に決めておくと話が短く済む。墓じまいの相談、秋彼岸まで1か月で菩提寺に聞く3つにその3つを書いた。家全体の情報を1枚に集めるなら実家カルテに墓の欄も一緒に埋めておくと、二度手間にならない。
墓と同じ場で必ず出てくるのが仏壇である。こちらは家の引渡日という動かせない期限があり、磐田市の粗大ごみ戸別収集には希望日の2週間前という締切がある。日程の組み方は仏壇の処分は売却日から逆算|磐田市は2週間前までに予約にまとめた。
私はこう考える。改葬が3年続けて最多を更新したからといって、今年中に決める理由にはならない。数字は世の中の平均であって、その家の事情ではない。決めない期間にも、体数と名義と相続人の顔ぶれを確かめておけば、いざ動くときの見積もりが1回で済む。決めるための材料が1つ増えた状態。今日の成果はそれで足りる。
費用と手順の最終的な答えは、統計にも、この記事にもない。撤去の見積もりは石材店へ、相続や登記の個別判断は司法書士へお願いしたい。そして墓の扱いと離檀のときの作法は、寺ごとに違う。最後は菩提寺に確認していただきたい。
FAQ
よくある確認
墓じまいは本当に増えているのですか。
改葬の件数は増えています。厚生労働省の衛生行政報告例によると、全国の改葬は平成26年度の8万3574件から令和6年度の17万6105件へ、10年で2.1倍になりました。静岡県も3468件から6526件で1.88倍です。ただし改葬は他の墓や納骨堂へ移す手続きの名前であり、墓を閉じた家の数と完全には一致しません。
改葬の許可は、どこの市役所に出すのですか。
移す先ではなく、今その遺骨がある場所の市町村です。墓地、埋葬等に関する法律第5条第2項は、改葬の許可は「死体又は焼骨の現に存する地の市町村長」が行うと定めています。磐田市の墓から市外の納骨堂へ移す場合も、許可を出すのは磐田市で、窓口は環境課生活環境グループ(電話0538-37-2702)です。
磐田市で墓じまいをすると、いくらかかりますか。
総額は墓の大きさや立地で変わるため、断定できません。公開されている数字としては、磐田市合葬墓の使用料が遺骨1体につき15万円(管理料なし)です。これに元の墓の撤去費が別途かかり、見積もりは石材店へ依頼します。寺院墓地の場合の費用や作法は寺ごとに異なるため、最後は菩提寺にご確認ください。
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Sources
出典・確認先
- 参考 e-Stat 令和6年度衛生行政報告例 第4章 生活衛生 第6表(埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数)
全国の改葬176,105件、無縁墳墓等の改葬3,006件、火葬総数1,674,520件、静岡県の改葬6,526件。公開日2025年10月21日。2026年8月確認
- 参考 厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例の概況」
令和7年10月21日公表。2026年8月確認
- 参考 e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年法律第48号)
第2条第3項の改葬の定義、第5条第2項の許可権者を条文で確認。2026年8月確認
- 参考 磐田市公式ウェブサイト「磐田市合葬墓」
駒場霊園内、使用料1体150,000円、収蔵数3,000体、改葬を含む申請資格、上位相続人の同意書。2026年8月確認
- 参考 磐田市公式ウェブサイト「磐田市の人口 令和6年度」
令和6年度の月別死亡数(合計2,059人)。割り戻しの分母に使用。2026年8月確認
制度・金額・期限は変わります。相続、税、登記にかかわる個別の判断は、税理士・司法書士などの専門家と菩提寺にご確認ください。 本記事は一般的な情報であり、特定の寺院・家・土地についての判断ではありません。