結論
墓を継ぐ子どもがいないんですが、一般墓と樹木葬はどちらがいいんでしょうか
どちらが良いかではなく、承継者を前提に置くかどうかで分かれます。鎌倉新書の第16回お墓の消費者全国実態調査(2025年3月14日公表・有効回答数1,475件)では、子どもがいない回答者の樹木葬が49.1%、一般墓は10.7%。子どもが4人以上では一般墓が35.3%に上がります。継ぐ人の頭数が墓の形を決めています。
子どもがいない回答者は樹木葬49.1%、一般墓10.7%。子ども4人以上では一般墓35.3%
株式会社鎌倉新書が2025年3月14日に公表した「第16回 お墓の消費者全国実態調査(2025年)」は、購入した墓の種類を子どもの人数ごとに集計している。子どもがいない回答者では樹木葬が49.1%、一般墓が10.7%。子どもが4人以上いる回答者では一般墓が35.3%、樹木葬が52.9%だった。調査期間は2025年1月17日から1月31日、対象は2024年1月から12月に同社のポータルサイト「いいお墓」経由で墓を購入した方、有効回答数は1,475件である(2026年8月27日確認)。
先に断っておく。これは世帯人数別の集計ではない。軸は子どもの人数で、その子どもが同居しているかも、墓を継ぐ意思を持っているかも、この数字は見ていない。宗派・寺院・地域で墓の扱いはまるで違う。全体の傾向を、ご自分の家の答えとして読まないでいただきたい。
| 子どもの人数 | 一般墓 | 樹木葬 | 納骨堂 | 合祀墓・合葬墓 |
|---|---|---|---|---|
| いない | 10.7% | 49.1% | 19.9% | 18.5% |
| 1人 | 18.0% | (未公表) | (未公表) | (未公表) |
| 4人以上 | 35.3% | 52.9% | (未公表) | (未公表) |
12マスのうち5マスが空欄なのは、鎌倉新書が本文の数字として出しているのがここまでだからである。残りはグラフの中にしかない。グラフから目分量で読み取った値を、私は数字としては書かない。
それでも一般墓の列だけは、きれいに並んでいる。10.7%、18.0%、35.3%。同社も「子どもの人数が増えるほど一般墓の割合が高くなる傾向が見られました」と書いている。墓の形を決めているのは、宗派でも予算でもなく頭数なのだと読める。
その頭数を磐田市の数字に置き換える。令和2年国勢調査(2020年10月1日現在)によると、磐田市の一般世帯64,969世帯のうち単独世帯が19,177世帯で29.5%、夫婦のみの世帯が13,018世帯で20.0%。足すと32,195世帯、49.6%になる。国立社会保障・人口問題研究所が2024年11月12日に公表した都道府県別の世帯数の将来推計では、静岡県の単独世帯の割合は2020年の31.9%から2050年に37.7%へ上がる見込みだ。
ただし、単独世帯や夫婦のみの世帯に子どもがいないとは限らない。県外へ出て別居しているだけの家も入っている。この49.6%は「墓を継ぐ人がいない世帯の割合」ではなく、「継ぐかもしれない人が同居していない世帯の割合」である。実家じまいの相談で墓の話だけが動かなくなるのは、たいていこの層だと私は見ている。
一般墓と樹木葬の違いは、値段ではなく承継者を前提に置くかどうかにある
一般墓と樹木葬は、墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)の上ではどちらも同じ「墓地」に入る。同法第4条は「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない」と定め、焼骨を土に納める樹木葬は墓地の許可を受けた区域でしか行えない。条文に「樹木葬」という語は出てこない。2つを分けているのは法律の区分ではなく、契約の中身である。
契約の中身のうち、いちばん大きく違うのが承継者の扱いだ。一般墓は使用権を次の代へ引き継ぐ前提で組まれている。民法第897条は「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」と定める。墓は相続財産のように分けられず、1人が引き受ける。ここが実務でのつまずきどころで、名義の話は墓の名義変更をしないとどうなる|2026年の登記義務化と同じ壁にまとめた。
樹木葬の多くは、その「1人」を最初から要らない形にしている。個別に安置する期間を年数で区切り、期限が来たら合祀へ移す。その時点で承継する人を探す必要が消える。永代供養と呼ばれるのはこの仕組みで、言葉の意味は永代供養の基礎資料で確かめられる。
言い切っておく。迷っている家がまず確かめるべきは、区画の見た目でも総額でもなく「個別安置は何年か」の1行である。樹木葬でも骨壺のまま埋蔵して取り出せる型はあるし、一般墓でも承継者が絶えたときの合祀を規約に書いている霊園はある。名前と中身は一致しない。取り出せるかどうかで分かれる話は納骨堂と樹木葬の違い|静岡は171か所の145が寺の経営で整理した。
価格差88万円を1年あたりに割る。磐田市の合葬墓150,000円を物差しにする
鎌倉新書の第16回調査では、一般墓の平均購入価格が155.7万円、樹木葬が67.8万円で、差は87.9万円だった。2026年3月5日公表の第17回(有効回答数1,267件)では一般墓152.0万円、樹木葬71.7万円で、差は80.3万円に縮んでいる。どちらも購入時の金額で、毎年の管理料や護持会費は含まない。
私は数字を1年あたりに割り戻す癖がある。そうしないと持ち主の負担に翻訳できないからだ。磐田市公式ウェブサイトによると、市営霊園の使用料は霊園と区画によって170,000円から300,000円、管理料は年2,090円。使用料190,000円の区画を30年使うと管理料の合計が62,700円で、総額252,700円、1年あたり8,423円になる。一般墓の全国平均155.7万円を30年で割ると1年あたり51,900円だから、差は年43,477円。空き家の草刈りを年2回業者に頼む費用と同じ桁である。ざっくりの計算だが、この桁で見ておくと「高い・安い」の言い合いが具体的な話に変わる。
磐田市合葬墓は別の立て方だ。磐田市駒場4916番地10にある永代合葬式の墓で、収蔵数は3,000体、使用料はご遺骨1体につき150,000円、管理料はかからない。区画いくらではなく体数いくらなので、墓じまいで取り出す遺骨が3体なら450,000円になる。承継者は要らない代わりに、市のページには「一度収蔵されたご遺骨は、いかなる理由があっても返還ができません」と書かれている。手離れの良さと取り消せなさは、同じ一行の裏表だ。
寺院が持つ樹木葬や永代供養墓の費用は、ここには書かない。永代供養料も護持会費も、開眼と納骨のお布施も寺ごとに違い、相場として断定できる数字を私は持っていない。相場のつもりで1つの金額を出せば、それより高い寺も安い寺も、あとから説明を強いられる。寺と檀家の双方を傷つけるやり方だと考えている。
「継承者不要」は36.7%から38.8%へ。ただしこの調査は日本の縮図ではない
鎌倉新書の調査で、墓を選ぶときに重視した点として「継承者不要」を挙げた割合は、第16回(2025年3月14日公表)の36.7%から第17回(2026年3月5日公表)の38.8%へ2.1ポイント上がった。同じ2回で一般墓の購入割合は17.0%から15.2%へ下がり、樹木葬は48.5%から47.4%、合祀墓・合葬墓は14.6%から16.4%になっている。
この調査の良い点を3つ数えたい。1つめは、検討中の人ではなく実際に購入した人だけに聞いていること。希望と実行のずれが入らない。2つめは、種類別の平均購入価格を毎回同じ区分で出していること。年をまたいで比べられる。3つめは、調査期間・対象・有効回答数を毎回明記していること。母数が分かるので、読む側が精度を自分で見積もれる。
その上で、一事業者として注文を2つ書いておく。1つは、子どもの人数別の集計が第17回では無くなっていること。継ぐ人の頭数と墓の形の関係は、この調査でしか見られない切り口だった。もう1つは、区分ごとの回答数が公表されていないこと。「子ども4人以上」が全体1,475件のうち何件なのかが分からないと、35.3%がどれだけ動きやすい値かを読む側が判断できない。
ここから先は体験ではなく、私の見立てとして書く。この調査の対象は「いいお墓」経由で墓を購入した方に限られる。樹木葬の掲載に強いポータルを通った人の集まりだから、日本全体の購入者の縮図ではない。樹木葬が5割近いという数字を、そのまま「日本人の半分が樹木葬にしている」と読むのは行き過ぎだと私は考えている。
正直に書くと、私はここで詰まっている。では日本全体の割合はどこを見れば分かるのか、まだ答えを持っていない。厚生労働省の令和6年度衛生行政報告例が数えているのは墓地・火葬場・納骨堂の3種類だけで、樹木葬は静岡県の墓地18,687区域の中に溶けている。継ぐ人の有無で墓の形が変わっていることは肌で分かるのに、その規模を公的な数字で測れない。この宙ぶらりんを抱えたまま案内しているのが、いまの正直なところである。
磐田で今日できる確認は3つ。継ぐ人がいるかどうかは今日決めなくていい
継ぐ人がいるかどうかを、今日はっきりさせる必要は無い。実家じまいでは、墓の話だけが半年も一年も動かないことがある。それでも今日のうちに終わる確認が3つある。どれも申込書を書かずに、実家の中と電話1本でできる。
- 移す遺骨の体数を数える。磐田市合葬墓のように1体150,000円で積み上がる料金では、体数がそのまま総額になる。墓誌に彫られた名前の数と実際の骨壺の数は一致しないことがあるので、最後に墓の中を開けた人に聞く。
- 墓の使用権が誰の名義かを確かめる。市営霊園なら使用許可証、寺の墓地なら護持会費の振込名義と過去帳が手がかりになる。名義人が亡くなった親のままなら、口座が止まる前に控えを取っておく。
- 子や甥姪に「継ぐ気があるか」ではなく「墓の場所と宗派を知っているか」を聞く。意思を先に問うと話が重くなって止まる。知らないという事実の確認だけなら、盆や彼岸の電話のついでに終わる。
菩提寺には、費用ではなく段取りの話として3つ聞くのがいい。①この寺に永代供養墓や樹木葬の区画があるか、無い場合に他所へ出すことをどう考えるか。②承継する人がいなくなったとき、いまの墓はどう扱われるのか、規約に書かれているか。③墓を返すとき、墓石の撤去は誰が手配するのか。金額の交渉ではなく事実の確認なので、電話でも切り出しやすい。区画があると言われたあとに何を書面で確かめるかは、永代供養の契約前に確認する3点|場所・方法・期間に書き出した。
磐田市内にも、永代供養墓や樹木葬を扱う寺はある。ATAWI TEMPLE が収録している醫王寺(御厨地区・真言宗智山派)には、その取り扱いの記録がある。ただし出典は民間の紹介サイトで、区画数も費用も当方では未確認のままだ。二次情報を根拠に「ここにあります」と案内していいのか、私はまだ線を引けていない。いまは「寺へ直接聞いてください」としか言えず、その手間を読者に押しつけている自覚がある。
結論を今日出す必要は無い。守るのか、移すのか、合葬墓へまとめるのかは、遺骨の体数と名義と、家族が墓の場所を知っているかが分かってから考えれば間に合う。今日の成果は、決めるための材料が1つ増えた状態でいい。お墓まわりの記事はお墓の記事一覧にまとめてある。
最後に繰り返す。ここに並べた割合と価格は鎌倉新書「お墓の消費者全国実態調査」第16回・第17回の公表値で、対象は同社のポータルサイト経由の購入者に限られる。磐田市の金額は市公式ウェブサイトの公表値である。区画の条件も、永代供養料の立て方も、承継が絶えたときの扱いも寺ごとに違う。ご自分の家がどうなるかは、最後は菩提寺に確認していただきたい。相続と登記の個別判断は司法書士へお願いしたい。
FAQ
よくある確認
一般墓と樹木葬のいちばん大きな違いは何ですか。
承継者を前提に置くかどうかです。一般墓は使用権を次の代へ引き継ぐ前提で、民法第897条により祭祀を主宰する1人が承継します。樹木葬の多くは個別安置の期間を年数で区切り、期限後は合祀へ移すため承継者を必要としません。墓地、埋葬等に関する法律の上ではどちらも同じ「墓地」で、違いは契約の中身に出ます。
継ぐ人がいない場合、実際にはどちらが選ばれていますか。
鎌倉新書「第16回 お墓の消費者全国実態調査(2025年)」では、子どもがいない回答者の49.1%が樹木葬、10.7%が一般墓、19.9%が納骨堂、18.5%が合祀墓・合葬墓でした。ただし対象は同社ポータル経由の購入者1,475件で、日本全体の購入者の縮図ではありません。
一般墓と樹木葬では費用はどれくらい違いますか。
同調査の第16回では一般墓の平均購入価格155.7万円、樹木葬67.8万円で差は87.9万円。第17回(2026年3月5日公表)では152.0万円と71.7万円で差は80.3万円です。磐田市営霊園は使用料170,000円から300,000円と管理料年2,090円、磐田市合葬墓はご遺骨1体150,000円です。
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あわせて読む
Sources
出典・確認先
- 参考 株式会社鎌倉新書「【第16回】お墓の消費者全国実態調査(2025年)」
2025年3月14日公表。調査期間2025年1月17日〜1月31日、対象は2024年1月〜12月に「いいお墓」経由で墓を購入した方、有効回答数1,475件。樹木葬48.5%/67.8万円、一般墓17.0%/155.7万円、納骨堂16.1%/79.3万円、合祀墓・合葬墓14.6%。重視した点は「お墓の種類」49.4%、「金額」41.9%、「継承者不要」36.7%。2026年8月確認
- 参考 いいお墓「【第16回】お墓の消費者全国実態調査(2025年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向」
子どもの人数別の集計。子どもなしは一般墓10.7%/樹木葬49.1%/納骨堂19.9%/合祀墓・合葬墓18.5%、子ども1人は一般墓18.0%、子ども4人以上は一般墓35.3%/樹木葬52.9%。本文に「子どもの人数が増えるほど一般墓の割合が高くなる傾向が見られました」との記載。2026年8月確認
- 参考 株式会社鎌倉新書「【第17回】お墓の消費者全国実態調査(2026年)」
2026年3月5日公表。調査期間2026年1月16日〜1月30日、対象は2025年1月〜12月に「いいお墓」経由で墓を購入した方、有効回答数1,267件。樹木葬47.4%/71.7万円、合祀墓・合葬墓16.4%、納骨堂15.5%/81.5万円、一般墓15.2%/152.0万円。重視した点は「お墓の種類」50.0%、「金額」43.9%、「継承者不要」38.8%、「お墓参りにアクセスのよいエリア」38.4%。子どもの人数別の集計は無い。2026年8月確認
- 参考 e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」(昭和23年法律第48号)
第4条(墓地以外の区域での埋蔵の禁止)を条文で確認。条文に「樹木葬」の語は無い。2026年8月確認
- 参考 e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)
第897条(祭祀に関する権利の承継)の条文を確認。2026年8月確認
- 参考 磐田市公式ウェブサイト「磐田市合葬墓」
磐田市駒場4916番地10、永代合葬式、収蔵数3,000体、使用料はご遺骨1体につき150,000円で管理料不要、「一度収蔵されたご遺骨は、いかなる理由があっても返還ができません」。2026年8月確認
- 参考 磐田市公式ウェブサイト「市営墓地」
市営霊園の使用料170,000円〜300,000円、管理料年2,090円。2026年8月確認
- 参考 e-Stat 令和6年度衛生行政報告例 第5表「墓地・火葬場・納骨堂数,経営主体・都道府県-指定都市-中核市(再掲)別」
2025年10月21日公表、2024年度末現在。静岡県の墓地18,687区域。表に樹木葬の項目は無い。2026年8月確認
- 参考 統計センターしずおか「令和2年国勢調査 人口等基本集計」第9-1表(世帯の家族類型別一般世帯数)
2022年1月20日更新、2020年10月1日現在。磐田市の一般世帯64,969世帯、単独世帯19,177世帯、夫婦のみの世帯13,018世帯、夫婦と子供から成る世帯18,541世帯。第6-3表で1世帯当たり人員2.52人。静岡県は一般世帯1,480,969世帯、単独世帯472,201世帯(31.9%)。2026年8月確認
- 参考 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)令和6(2024)年推計」
2024年11月12日公表。表II-5-1で静岡県の単独世帯の割合が2020年31.9%から2050年37.7%へ上昇する見込み。2026年8月確認
制度・金額・期限は変わります。相続、税、登記にかかわる個別の判断は、税理士・司法書士などの専門家と菩提寺にご確認ください。 本記事は一般的な情報であり、特定の寺院・家・土地についての判断ではありません。