生成りの紙面に濃緑の帯と金の細線をあしらったカバー画像。上に「大石浩之のお寺ノート」、中央に大きな見出しで「静岡県の寺院2,602か寺|宗派の割合は公表されていない」、下段に「ATAWI TEMPLE|磐田市の寺院データベース」と日付「2026.08.27」が並ぶ。
記事内容をもとに生成したイメージです。実在の場所・人物を撮影したものではありません。

結論

うちは曹洞宗なんですが、静岡だと普通のほうなんでしょうか

静岡県単位では答えが出ません。文化庁の宗教年鑑令和7年版に載るのは令和6年12月31日現在の静岡県の寺院2,602か寺という総数までで、宗派別の内訳は都道府県ごとに公表されていないためです。ATAWI TEMPLEが磐田市で収録する118か寺で数えると、曹洞宗が62か寺、52.5%を占めます。

静岡県の寺院は2,602か寺。全国9位で、県内は神社のほうが240多い

文化庁が発行する『宗教年鑑 令和7年版』によると、令和6年(2024年)12月31日現在、静岡県内の寺院は2,602団体ある。そのうち宗教法人になっているものが2,565法人。同じ時点の全国の寺院は76,390団体で、静岡県はその3.4%にあたる。都道府県別に並べると静岡県は9位である(2026年8月27日確認)。

上位は愛知4,506、大阪3,350、兵庫3,283、滋賀3,192の順に並ぶ。続いて京都3,043、千葉3,005、東京2,878、新潟2,730、そのあとが静岡2,602である。1位の愛知と比べると57.7%の数である。寺の多い県という印象は薄いが、47都道府県では上から数えたほうが早い。

先に断っておく。この記事に並ぶのは団体の数であって、その寺がどんな寺かを言い当てるものではない。宗派・寺院・地域で扱いはまるで違う。ご自分の菩提寺がどの位置にいるかは、数字を見たあとに菩提寺へ聞いていただきたい。数の全体像を先に持っておくと、聞くときの質問が具体になる。

同じ表で静岡県の神社を見ると2,842団体で、寺院より240多い。全国でも神社80,570団体に対して寺院76,390団体だから、神社のほうが多いこと自体は静岡県に限った話ではない。ただ静岡県は差が240、率にして9.2%と接近している。氏神と菩提寺が同じ地区に並んで残っている土地だ、と数の上からは読める。

私は数字を1軒あたりに割り戻す癖がある。不動産の仕事では、そうしないと持ち主の負担や当たる確率に翻訳できないからだ。統計センターしずおかの令和8年8月市区町別推計人口によると、2026年8月1日現在の静岡県の人口は3,443,104人。寺院2,602か寺で割ると、1か寺あたり1,323人になる。磐田市は159,245人・65,904世帯なので、市内118か寺で割ると1か寺あたり1,349人、559世帯という計算になる。磐田は県の平均とほぼ同じ密度である。

宗派別の内訳は、都道府県ごとには公表されていない

文化庁の宗教統計調査は、統計表が4つに分かれている。第1表が宗教法人数総括表、第2表が全国社寺教会等宗教団体・教師・信者数である。第3表が系統別単位宗教団体・教師・信者数、第4表が包括宗教団体の被包括宗教団体・教師・信者数となっている。宗派の名前が並ぶのは第4表だけで、この表には都道府県の列が無い。

逆に都道府県別が出る第2表と第3表は、神道系・仏教系・キリスト教系・諸教という「系統」までしか割らない。つまり「静岡県に曹洞宗の寺が何か寺あるか」は、この調査の公表分からは出てこない。狙って隠しているのではなく、集計の軸がそう組まれている。ここが、宗派の割合を調べようとした人が最初にぶつかる壁になる。

その上で、この調査の良い点を3つ数えたい。1つめは、毎年12月31日現在で更新され、翌年12月に公表されると決まっていること。令和7年の結果は2025年12月24日に公表された。2つめは、宗教団体数と宗教法人数を分けて載せていること。法人格を持たない団体がどれだけあるかが分かる。3つめは、第4表で宗派ごとの寺院数が1か寺単位まで出ていること。曹洞宗14,423、浄土真宗本願寺派10,052というように、全国の分母がはっきりする。

一事業者として、注文を1つだけ書いておく。第4表に都道府県の列が1つ増えるだけで、家族が「うちの宗派はこの県に何か寺あるのか」を自分で確かめられるようになる。制度を変える話ではなく、すでに集めている数字の並べ方の話である。ここから先は体験ではなく意見として書く。遠方に住む相続人ほど、地元でどの宗派が厚いのかを知らないまま判断を迫られる。県単位の一覧は、その足止めをほどく材料になると私は考えている。

私が正直に迷っているのはここからだ。私は寺院関係者ではないので、この統計が誰のために作られてきたのかまでは分からない。県別の宗派内訳を出すことに、寺の側から見た不都合があるのかもしれない。それを確かめないまま「出すべきだ」と押し切るのは、檀家側から書く者としてやり過ぎだと思っている。だからここは注文として置くにとどめ、判断は保留にしておく。

磐田市の118か寺で数えると禅系が75.4%。全国は浄土系39.6%が最多

県別の内訳が無いなら、手元にある実数で数えるしかない。ATAWI TEMPLE が磐田市内で収録している寺院は118件ある。うち現存が確認できているものが96件、廃寺として記録しているものが5件である。この118件を、文化庁が使っている仏教系の系統区分に私が当てはめて数え直したものが次の表である。文化庁が磐田市を集計したものではない点は、先に断っておく。

系統磐田市(118か寺)割合全国(73,572か寺)割合
禅系8975.4%20,57728.0%
浄土系1512.7%29,10039.6%
日蓮系75.9%6,8899.4%
真言系43.4%12,30316.7%
天台系00%4,4346.0%
奈良仏教系00%2520.3%
その他・単立など32.5%170.02%

全国側の73,572か寺は、文部科学大臣所轄の包括宗教法人に属する寺院の数である。時宗と融通念佛宗は、宗教年鑑の区分では浄土系に入る。磐田市の禅系89か寺の中身は、曹洞宗62、臨済宗妙心寺派21、臨済宗方広寺派6という内訳になる。

言い切っておく。磐田は禅宗の町である。4か寺のうち3か寺が禅系で、全国平均の28.0%の2.7倍にあたる。一方で全国最多の系統は浄土系の39.6%だが、磐田では12.7%しかない。天台系と奈良仏教系にいたっては、収録した118件の中に1か寺も無い。

ここが、この記事のいちばんの読みどころだと私は考えている。「うちは曹洞宗だが典型的なのか」という問いの答えは、どの単位で見るかで裏返る。単一の宗派としては曹洞宗の14,423か寺が全国最多で、めずらしくない。ところが系統でまとめ直すと、全国の主流は浄土系である。磐田では多数派、日本全体では最大勢力ではない。宗派そのものの成り立ちは宗派の基礎資料にまとめてある。

全国の宗派別寺院数で割り戻すと、方広寺派は磐田に23倍集まっている

磐田市の118か寺は、全国の寺院76,390か寺の0.15%にあたる。この0.15%を「全国平均どおりの1.0倍」と置いて、宗派ごとに磐田がどれだけ濃いかを割り戻してみた。分母は宗教年鑑令和7年版の第4表、分子はATAWI TEMPLEの収録数である。表の取り方が違う数字を割っているので、桁を見るためのざっくりの計算だと受け取っていただきたい。

宗派磐田市全国磐田のシェア全国平均比
臨済宗方広寺派61683.57%23.1倍
時宗44100.98%6.3倍
臨済宗妙心寺派213,3180.63%4.1倍
曹洞宗6214,4230.43%2.8倍
日蓮宗54,6530.11%0.7倍
浄土宗66,8370.09%0.6倍
真宗大谷派38,3960.04%0.2倍
浄土真宗本願寺派110,0520.01%0.06倍

いちばん驚いたのは臨済宗方広寺派である。全国に168か寺しかない宗派の6か寺、3.57%が磐田市内にある。大本山の方広寺が静岡県浜松市浜名区引佐町奥山にあり、磐田市から車でおよそ1時間の距離という土地柄が、そのまま数に出ている。宗派としての来歴は臨済宗方広寺派のページに整理してある。

反対の端にあるのが浄土真宗本願寺派だ。全国では10,052か寺と曹洞宗に次ぐ規模なのに、磐田市の収録では1か寺しかない。全国平均の0.06倍、16分の1以下という薄さである。真宗大谷派の3か寺を足しても、真宗系は4か寺にとどまる。

この差は、家族の会話にそのまま効いてくると私は考えている。真宗が厚い土地で育った親族と、禅系が4分の3を占める磐田の実家とでは、当たり前の前提がそろわない。法要の呼び方、お参りの作法、位牌の扱いは宗派で違う。数の分布を知っておくと、その食い違いを「誰かが間違えている」ではなく「土地が違う」として扱える。檀家という関係そのものの成り立ちは檀家制度の基礎資料で確かめられる。

もう一つ、自分でひっかかっている点を書いておく。収録118件のうち、現存を確認できているのは96件である。臨済宗妙心寺派は21か寺を収録しているが、そのうち現存確認まで進んでいるのは6か寺にとどまる。つまり上の表の精度は宗派によってばらつく。私はこの数字を「磐田の傾向をつかむ材料」としては使うが、「1か寺単位で正確な分布」としては、まだ自分でも信用しきっていない。調査が進めば数は動く。

自分の菩提寺の宗派を確かめる。今日できる3つ

菩提寺との付き合いを親の代が一手に引き受けてきた家では、宗派の正式名称が子の代に伝わっていないことがある。これも件数を数えた話ではなく、私の見立てである。今日中に終わる確認を3つ挙げておく。どれも菩提寺へ電話をかける前に、実家の中だけでできる。

  • 仏壇の中を見る。本尊と両脇の掛軸の組み合わせは宗派で違う。写真を撮っておけば、あとで人に見せて確かめられる。仏壇そのものの片づけは売却日から逆算する必要があるので、寺の墓地と市営霊園の違い|静岡は墓地の62%が個人経営と合わせて段取りを組んでおくといい。
  • 過去帳と位牌の表書きを読む。年忌の記録に寺の名が入っていることが多い。寺の名が分かれば、宗派はそこから調べがつく。
  • 通帳と郵便物を探す。護持会費や年会費の振込控え、盆と彼岸の案内はがきに、寺の正式名称と宗派が印字されている場合がある。名義人が亡くなった親のままなら、その口座が止まる前に控えを取っておく。

そのうえで菩提寺へ聞くときは、費用の話から入らないほうがいい。順序は3つ。①うちの家はこちらの檀家という扱いで合っているか、②宗派の正式な名称は何か、③今後の法要はどの順で来るか。この3つは、どの寺でも答えが決まっている事実の確認なので、電話でも切り出しやすい。金額の相談は、この3つが済んでからで間に合う。

結論を今日出す必要は無い。宗派が分かったところで、墓をどうするか、仏壇をどうするかは別の判断である。決められない事情がある家のほうが多いことも知っている。ただ、宗派と寺の正式名称だけは先に確定させておくと、半年後にどの選択をするにしても必ず効いてくる。宗派が分かったあとで気になるのは、その寺そのものが続くのかどうかである。全国と磐田の数字は磐田の寺、後継者は|全国宗教法人17.8万で減少中に整理した。お墓まわりの記事はお墓の記事一覧にまとめてある。

最後に繰り返す。ここに並べたのは文化庁の宗教年鑑令和7年版の全国・都道府県の数字と、ATAWI TEMPLE が磐田市内で収録している118件の集計である。個々の寺の宗派の名乗り方、法要の進め方、檀家としての務めは寺ごとに違う。ご自分の家がどうなるかは、最後は菩提寺に確認していただきたい。相続と登記の個別判断は司法書士へお願いしたい。

FAQ

よくある確認

静岡県には寺院が何か寺ありますか。

文化庁『宗教年鑑 令和7年版』によると、令和6年12月31日現在で静岡県内の寺院は2,602団体、うち宗教法人が2,565法人です。全国76,390団体の3.4%にあたり、都道府県別では9位になります。県内の神社は2,842団体で、寺院より240多い数です。

静岡県の寺院の宗派別の割合は、どこで見られますか。

都道府県別の宗派内訳は公表されていません。宗教統計調査で宗派名まで出るのは第4表ですが、この表は全国計で都道府県の列がありません。都道府県別が出る第2表と第3表は、神道系・仏教系などの系統までしか区分しません。宗派を確かめるには、菩提寺に正式名称を聞くのが確実です。

磐田市でいちばん多い宗派は何ですか。

ATAWI TEMPLEが磐田市内で収録している118か寺では、曹洞宗が62か寺で52.5%を占めます。臨済宗妙心寺派21か寺、浄土宗6か寺、臨済宗方広寺派6か寺と続きます。禅系だけで89か寺、75.4%です。これは当サイトの収録範囲での集計で、市内すべての寺院の悉皆調査ではありません。

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あわせて読む

Sources

出典・確認先

  1. 参考 文化庁『宗教年鑑 令和7年版』

    令和6年12月31日現在。第2表(2)都道府県別で静岡県の寺院2,602団体・神社2,842団体・宗教法人としての寺院2,565法人、全国の寺院76,390団体。第4表(1)で仏教系の系統別寺院数(浄土系29,100/禅系20,577/真言系12,303/日蓮系6,889/天台系4,434/奈良仏教系252、計73,572)と宗派別寺院数(曹洞宗14,423/浄土真宗本願寺派10,052/真宗大谷派8,396/浄土宗6,837/日蓮宗4,653/臨済宗妙心寺派3,318/時宗410/臨済宗方広寺派168)。2026年8月確認

  2. 参考 文化庁「令和7年の宗教統計調査の結果を公表します」

    令和7年12月公表。令和6年12月31日現在の宗教法人数178,537法人ほか。公表日2025年12月24日。2026年8月確認

  3. 参考 文化庁「宗教統計調査」

    調査の目的と統計表の構成(第1表〜第4表)、各年の結果へのリンクを確認。2026年8月確認

  4. 参考 e-Stat 宗教統計調査 第2表 全国社寺教会等宗教団体・教師・信者数(2)都道府県別

    令和6年度(令和5年12月31日現在)の都道府県別表。静岡県の寺院2,609団体。都道府県別の集計が系統までで、宗派別の列が無いことを表の構成で確認。2026年8月確認

  5. 参考 統計センターしずおか「令和8年8月市区町別推計人口」

    2026年8月20日公表、2026年8月1日現在。静岡県3,443,104人、磐田市159,245人・65,904世帯。2026年8月確認

制度・金額・期限は変わります。相続、税、登記にかかわる個別の判断は、税理士・司法書士などの専門家と菩提寺にご確認ください。 本記事は一般的な情報であり、特定の寺院・家・土地についての判断ではありません。

大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)の顔写真

この記事を書いた人

大石浩之(磐田市/不動産業)

富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役/宅地建物取引士

磐田市で実家じまい・相続・空き家の相談を受けています。菩提寺や墓の話は、家をどうするかの相談と必ず同じ場に出てきます。 その現場で見たこと・聞いたことを、判断できるところとできないところを分けて書いています。

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